溶連菌感染症
(喉の痛み・イチゴ舌)

溶連菌とは

溶連菌とは正式には「溶血性連鎖球菌」と言い、主に喉に感染する細菌です。症状としては、発熱や喉の痛み、また場合によって体や手足に発疹が生じることもあります。風邪に似た症状ですが、あまり咳や鼻水は出ません。その他、特徴としては、舌が真っ赤に変色し、ブツブツとした発疹が現れるようになります。また、扁桃腺が膿んで喉の奥が赤く変色したり、出血斑という赤い発疹が口の奥に現れる、首のリンパ節が腫れるなどの症状を引き起こすこともあります。なお、溶連菌はとびひの原因にもなります。

劇症型溶連菌感染症(人食いバクテリア)と違う?

溶連菌の中には劇症型溶連菌というものがあります。これは、今まで健康だった人が突然発症し、数十時間で足などが腐り、腎不全やショック状態になるものです。日本では、1992年にはじめて発症が確認されて以来、感染者の約30%が死に至っています。感染者のほとんどは30-70歳代の成人ですが、中には小児の感染例も見られます。
非常に稀な病気ですが、医療が進歩した現代でも健常者を突然死に至らしめる恐ろしい病気の一つとなります。


溶連菌の種類

溶連菌にはA群、B群、C群、G群など様々なタイプがありますが、過去に重篤な症状を引き起こしているのはほとんどがA群となります。従って、一般的に溶連菌感染症の原因菌はA群溶連菌と認識されています。
また、B群溶連菌(GBS)は主に腸や腟などに存在する常在細菌であるため通常では特に問題はありませんが、妊娠中に母体が感染すると胎児にも重篤なGBS感染症を引き起こす可能性があります。そのため、妊娠中の患者様はおりもの検査を実施してGBS感染症の有無を調べ、陽性判定の場合には分娩時に抗生物質の点滴治療を実施して、胎児への感染を防止します。


溶連菌感染症の症状は「喉の痛み」「イチゴ舌・白苔(白いブツブツ)」?

前述通り、溶連菌感染症の主な症状は発熱や喉の痛みなど風邪やインフルエンザと似ていますが、咳や鼻水、鼻詰まり、くしゃみなどの症状があまり現れないという特徴があります。
以下は、溶連菌感染症の主な症状となります。

  • 喉が痛む
  • 喉や扁桃腺が腫れる(連鎖球菌性咽頭炎)
  • 関節が痛む
  • 扁桃炎によって白い膿が出る
  • 38℃以上の発熱が生じる
  • 全身倦怠感を起こす
  • 小さな赤い発疹が現れる
  • 舌表面に白いブツブツが現れるイチゴ舌になる

その他、頭痛や腹痛、嘔吐、首のリンパ節の腫れなどの症状を引き起こすこともあります。ほとんどが風邪やインフルエンザと似た症状ですが、これらとは異なり一定期間静養しても改善されないため、症状が現れた際には医療機関を受診して原因を特定し、早期に適切な治療を行うことが大切です。


溶連菌感染症の感染経路

溶連菌感染症の感染経路は、主に飛沫感染と接触感染となります。

飛沫感染

溶連菌感染のほとんどは飛沫感染となります。感染者が咳やくしゃみをすることで菌を含んだ飛沫が拡散し、周囲の人に感染が拡大します。

接触感染

感染者が、細菌が付着した手で他者の皮膚と接触したり、食器やタオル等を共有することで感染が拡大します。


溶連菌感染症の潜伏期間

溶連菌は感染してから約2〜5日の潜伏期間を経て発症します。溶連菌は感染力が非常に高い上、潜伏期間中は無症状であるため、感染者本人が感染していることに気づかずに通常通りの生活を送ってしまい、周囲に感染を拡大させてしまうケースが多く見られます。


溶連菌感染症の検査

溶連菌感染症の主な検査には迅速検査、培養検査、血液抗体検査の3種類がありますが、最も一般的に行われているのは迅速検査になります。
迅速検査は喉の奥から検体を採取し、細菌の有無を確認します。約5分で感染の有無が判定できるため、感染が疑われてご来院された際には、まずこの迅速検査を行います。
一方、培養検査と血液抗体検査は、結果が出るまで時間がかかります。しかし、迅速検査では不可能な細菌の濃度や抗生剤への効果などの詳細な分析が行えるため、主に入院治療にて行います。(入院治療が必要な患者様は連携する医療機関へご紹介いたします)


溶連菌感染症の治療は抗生物質?

溶連菌感染症の主な治療法は、抗生物質の服用となります。使用する薬としては、まずはペニシリン系の抗生物質が選択されます。ただし、ペニシリン系の抗生物質にアレルギーがある患者様の場合には、マクロライド系の抗生物質を適用します。また、患者様の溶連菌の種類や検査結果などを考慮し、セフェム系などの他の抗生物質の使用を検討することもあります。
治療では、基本的に抗生物質を7〜10日間継続して服用します。一定期間継続して服用することで、治癒を早めるほか、急性糸球体腎炎やリウマチ熱など重篤な合併症を防ぐ効果が期待できます。なお、抗生物質はできるだけ初期段階に服用するほど、完治までの時間も短縮できます。
ただし、治療によっていったん症状が改善したからといって、安心して抗生物質の服用を中断しないようにしましょう。症状が改善しても体内にはまだ溶連菌が残留している場合もあり、服用を中止することで菌が再び増殖し始め、再発を起こす恐れがあります。また、途中で服用を中断することで溶連菌に抗生物質への耐性がつき、その後薬が効きづらくなって症状が重篤化する危険もあります。従って、処方された薬は全て使い切るようにしましょう。


溶連菌感染症は大人にもうつる?

溶連菌感染症を引き起こす主な菌のタイプはA群β溶連菌となります。ただし、このA群β溶連菌の中にもいくつかの種類があるため、複数の種類の違うものに感染した場合には同じ人が複数回感染することもあります。
溶連菌感染症の主な症状は、38℃以上の発熱や喉の痛み、全身倦怠感など、一般的な風邪やインフルエンザと似たものとなります。しかし、溶連菌感染症の場合には、舌がイチゴのように赤く腫れたり全身に赤い発疹が出るなど、特有の症状が見られることもあります。
溶連菌の感染力は非常に強く、家族の誰か1人が感染した場合、その後の家族間の感染率は20~60%であるという報告もあります。そのため、家族の中で感染者が現れた場合には、家族間で感染が拡大しないよう、注意が必要です。溶連菌感染症の感染ルートは風邪と同様、ほとんどが飛沫感染となりますので、予防の際には自宅内でもマスクを着用する、手洗い・うがいを徹底するなどを行い、感染予防に努めましょう。


溶連菌になると仕事を何日休む必要がある?

溶連菌感染症で陽性判定が出た場合には、周囲への感染拡大を防止するために、治療開始後から24時間以上経過し症状が治まるまでは自宅待機となります。抗生物質の服用を開始して24時間以上が経過すれば、感染力は失われます。その後2〜3日ほど安静状態を保つことで症状も治りますので、その後は出社や登校は可能となります。
なお、溶連菌感染症にはインフルエンザや流行性耳下腺のような自宅静養を義務づける法律はありませんので、会社や学校で規定されている場合には、それらに従ってください。

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