胸の痛みを引き起こす要因
胸の痛み(胸痛)の原因にはさまざまあり、多様な症状があらわれます。
胸の表面の痛み
胸の内側ではなく皮膚の表面のチクチクする痛み、または刺すような痛みがある場合、考えられる主な原因は外傷、帯状疱疹、胸壁の神経や筋肉の炎症などです。
胸の内側の痛み
胸の内側に痛みを感じる場合、考えられる主な原因は狭心症、心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓症などです。
胸の痛みのように感じられる症状
胸の痛みのように感じられても、消化管の疾患(食道や胃・十二指腸潰瘍など)、肺炎、気胸、骨や筋肉の障害である可能性があります。診断の助けとなりますので、胸の痛み以外に症状がある場合はお伝えください。
注意するべき痛み
胸には心臓や肺があるため、その付近で痛みがあると不安を感じやすいでしょう。胸の痛みは必ずしも重大な病気のサインであるとは言えませんが、次のような症状がみられる場合は、注意する必要があります。
- 胸が締めつけられるような、急激で激しい痛み
- 胸に重い石をのせられたような圧迫感
- 灼熱感(胸が焼けるような痛み)
- 強い痛みが前胸部から背中へ移動する
- 冷や汗、嘔吐、呼吸困難、意識の低下、失神が付随する胸の痛み
救急車を呼ぶ必要がある場合もあります。「#7119」の救急安心センターに電話をすると、相談員が救急車を呼ぶかの判断をしたり、応急処置の指示をしてくれるので、判断が難しい場合はそちらをご利用ください。
胸の痛みを伴う主な病気、特徴
前胸部の痛み
狭心症
痛みは胸が圧迫されるような感じで、1~5分ほど続き、長くて15分で治まります。
心膜炎
風邪症状の後に起こるのが特徴で、咳や深呼吸をすると痛みが増します。
胸の左~中心部の痛み
心筋梗塞
胸が締め付けられるように激しい痛みが15分以上続きます。多くの場合、吐き気、不整脈、冷や汗、呼吸困難などを伴います。
胸から背中、腰にかけての痛み
解離性大動脈瘤
突き抜ける、裂けるように激しく痛みます。
背骨~肋骨の痛み
肋間神経痛
電気が走るように痛み、咳や深呼吸をすると痛みが増します。
痛みの場所が不定
心臓神経症
チクチクとした痛みで、圧迫すると痛みが増す一方、優しくさすると痛みが軽くなります。多くの場合、動悸、不整脈、呼吸困難を伴います。
胸の表面
筋肉痛
痛みは鈍く、動くと悪化します。
肋骨骨折
強い痛みが出るのは身体を動かしたときで、咳やくしゃみ、深呼吸をすると痛みが増します。
うつ病
胸部レントゲン検査や心エコー検査を行っても異常が見つからない場合はうつ病が疑われます。ストレスや悩み事、不安によって引き起こされます。
胸の痛みの原因
狭心症や心筋梗塞、肋間神経痛、帯状疱疹、胸膜炎、心臓神経症などさまざまな疾患が胸の痛みの原因となります。
一度だけの軽い痛みで、すぐに治まった場合であればそれほど心配する必要はありませんが、中には重大な病気が隠れているケースもみられますので、痛みが続いている場合や何度も繰り返し起こる場合はすみやかに診察を受けるようにしてください。
胸痛症候群とは
胸の痛みがあるのに、どれだけ検査をしても原因が判明しないというようなケースでは、「胸痛症候群」という診断がくだされることがあります。
その症状はチクチク、ピリピリした胸の痛み、締め付けられるような痛みなどさまざまで、あらわれ方も体を動かすと痛みが増したり、または軽くなったりと幅広いです。
成長期から思春期の女性に多くみられ、ほとんどは時間が経つと改善します。骨格や筋肉の成長と関連しているのではないかと言われていますが、明確な原因は判明していません。
胸の痛みを感じたら
胸の痛みがあっても心配し過ぎる必要はありません。胸の痛みがある場合は、その原因を明確にし、それに適した治療や対応を行うことが重要です。
胸の痛みがある場合は、お気軽に当院にご相談ください。
受診の際のポイント
胸の痛みはさまざまな原因や疾患により引き起こされ、さまざまな症状があらわれます。そのため、診察を受けるときには検査の選択や診断をより正確に行うため、「どのような胸の痛み」であったかを可能な限り詳細にお伝えください。
教えていただきたいこと
- 初めて胸の痛みが起こったのはいつか
- 胸の痛みは1回だけか、それとも何度も繰り返すか
- 繰り返す場合、どのくらいの頻度で起こるか
- どんな痛み方だったか(チクチク、圧迫感、ズキズキ、締め付けられる等)
- 痛みはどれくらい続くか
- どのようなときに胸の痛みが出るか(運動時、早朝など)
- 痛みは呼吸などで変化するか
- 痛む位置が移動しているか
- 胸の痛み以外に症状があるか