むせるような咳が出る方へ
むせは、食べ物、飲み物や唾液などが気管に入ったときに起こる、それらの異物を外に出そうとする反応です。
また、咳は細菌やウイルスなどの異物が体内に入ったときに起きる、それらを外に出そうとする反応です。
つまり、むせと咳は両方とも体内の異物を外に出すために生じる反応で、同時に起こることもあります。
むせるような咳は、辛いものや酸っぱいもの、粉っぽいものを食べたときに刺激で出るなど、病気以外が原因の場合もあります。
また、冷たい空気を吸いこんだ後や興奮して笑いすぎたなどの場合もむせるような咳が出ることがあります。
むせるような咳が出る原因
気管支炎、肺炎
気管支炎や肺炎では多くの痰が出るため、痰が絡むことでむせるような咳が出る場合があります。
新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症の症状としては、発熱や咳、喉の痛みがみられます。症状が悪化すると、激しく咳き込んだ結果むせる場合があります。また、むせるような咳が長期間続く後遺症が報告されています。
百日咳
百日咳菌を原因として引き起こされる感染症で、激しい咳が長期間継続するという特徴があります。息を吸っただけでむせ、咳き込んで嘔吐してしまうケースもあります。
感染症以外の原因
アレルギー
むせるような咳は、アレルギーが原因で起こる病気(花粉症やアトピー咳嗽など)でも起こることがあります。
花粉症では鼻水が多くなりますが、その鼻水が喉に流れ込むため、それを追い出そうとしてむせるような咳が出ます。
アトピー咳嗽とは、気道が刺激に過敏になって咳が生じる病気で、喉にイガイガ感があり、むせるような感じがします。咳は長く続きます。
耳鼻咽喉科疾患
後鼻漏や副鼻腔炎によって、粘性のある鼻水が喉に流れ込み、特に夜間や起きた時は鼻水が溜まっているため、それを追い出すためむせるような咳が出ます。
脳神経疾患
脳梗塞やパーキンソン病によって引き起こされた嚥下障害で、口の中のものが上手に飲み込めなくなる場合があります。そうすると、食後にむせたり、痰が絡んだ咳が多くなったりします。
逆流性食道炎
胃酸や胃の内容物が食道へと逆流する病気を逆流性食道炎と呼び、逆流したものが喉まで来ると、むせて咳が出る場合があります。
加齢による影響
誤嚥(ごえん)は、加齢で喉の筋力が衰えることが原因で、食べ物や唾液が気道に入ってしまうことをいいます。誤嚥が起こった場合、気道に入ってしまった食べ物や唾液を吐き出すためむせるような咳が出ます。
心因性咳嗽(ストレスによる影響)
心因性咳嗽(しんいんせいがいそう)では、ストレスを原因としてむせるような咳が続きます。心因性咳嗽では、感染症やアレルギーなどさまざまな検査を実施しても異常がなく、原因が判明しません。
咳は、多くの場合睡眠中や何かに集中しているときではなく、日中や緊張しているときに出ます。
むせるような咳が出るときに行う検査
感染症の検査
症状の原因となる細菌やウイルスが何であるか確かめるため、インフルエンザの検査や新型コロナウイルス感染症のPCR検査、抗原検査などを実施します。
画像検査
肺の炎症や腫瘍といった病変を調べるため、胸部レントゲン検査やCT検査などを行います。
血液検査
咳の原因となるアレルギーがあるかどうかや、炎症の程度を確かめるため、血液検査を行い血液中の成分を調べます。
呼吸機能検査
喘息や咳喘息の疑いがあるときには、肺活量をはじめとした呼吸機能を調べる、呼吸機能検査を行うことが多いです。
スパイロメトリーやモストグラフなど、検査にはいくつかの種類があります。