- マイコプラズマ肺炎とは
- マイコプラズマ肺炎になりやすい年齢
- マイコプラズマ肺炎の潜伏期間
- マイコプラズマ肺炎の症状
- マイコプラズマ肺炎の合併症
- マイコプラズマ肺炎の検査・診断
- マイコプラズマ肺炎の治療
マイコプラズマ肺炎とは
マイコプラズマ肺炎とは、マイコプラズマという菌によって引き起こされる肺炎です。一般的な肺炎では、空気の通る気管支や、その先にある肺胞が傷つくため、聴診器を当てると痰が絡むような音が聞こえます。一方マイコプラズマ肺炎は、気管支や肺胞ではなく、その外の間質という組織が炎症を起こすため、痰が絡むような音は聞こえません。ただし、経過が長引いた場合は炎症が気管支や肺胞にも広がるため、痰が絡むような音が聞こえるようになります。
マイコプラズマ肺炎になりやすい年齢
幼児から成人までの幅広い年齢層の方がかかりますが、特によくみられるのは学童期や青年期の方です。幼児では肺炎まで進行するケースはあまりみられず、多くの場合は風邪症状がみられる程度で治癒していましたが、近年は幼児であっても肺炎になるということがみられるようになっています。マイコプラズマ肺炎にかかっても十分な免疫はできないため、一度かかったらもうかからないということはなく、何回でもかかります。
マイコプラズマ肺炎の潜伏期間
マイコプラズマの潜伏期間は2~3週間と、比較的長期間です。そのため、症状が治まっていても病原体が体内に残存している可能性があります。しばらくの間は、周りへの感染を防止するため、登校や通勤の際にマスクを着けるようにしましょう。また、激しい運動は咳が収まるまでは避けるようにしましょう。
マイコプラズマ肺炎の症状
マイコプラズマ肺炎の特徴はしつこい咳と長引く発熱で、全身倦怠感もみられますが、重症になるケースは多くありません。また、聴診器で聞いただけでは判断が難しいため、診断に時間が必要なこともあります。
マイコプラズマ肺炎の合併症
マイコプラズマは間質で起こる肺炎ですが、合併症として一般的な肺炎や気管支炎が引き起こされることがあります。また、気管支喘息、中耳炎、副鼻腔炎、発疹などがみられる場合もあります。一時的な心臓の異常が稀な合併症として起こることがありますが、長引かず、短期間で治ります。
マイコプラズマ肺炎の検査・診断
マイコプラズマでは、通常起こる白血球や炎症の反応にほとんど変化が起こらないため、一般的な血液検査での診断ができません。MPHAというマイコプラズマの抗体を検査する方法がありますが、この方法では、症状があらわれ始めた急性期と回復したあとの2回採血を行う必要があり、1回の採血では診断は難しいです。
そのため、現在は主にLAMP法やプライムチェックという検査を用います。LAMP法は咽頭スワブ(ぬぐい液)を使用して菌の遺伝子を検出する方法で、発症初期(2~16日目)であっても検出が可能です。精度は高いですが、結果が出るまでに少し時間を要します。プライムチェックも咽頭スワブ(ぬぐい液)を使用して抗原を調べる検査で、特に発症初期だと精度は若干落ちますが、すぐに検査結果が出ます。当院ではプライムチェック検査を導入しています。
マイコプラズマ肺炎の治療
マイコプラズマでは、主にマクロライド系と呼ばれる抗菌薬で治療を行いますが、最近はその薬剤では効果が無い病原体もみられます。その場合、治療はニューキノロン系、テトラサイクリン系の抗菌薬に切り替えて行うことがあります。
ただし8歳未満のお子様では、テトラサイクリン系の薬剤で歯の黄ばみが出るケースがあるため、原則使用しません。
これらの抗菌薬に加えて、咳や高熱に対して咳止め薬や解熱薬を処方する場合もあります。また、合併症がみられる場合は、その病気の治療のための薬も使用します。
ご家庭では水分を補給しつつ、できるだけ体を休めてください。熱が下がってきたら入浴も可能ですが、長風呂は避けてください。
大人のマイコプラズマ肺炎の特徴
マイコプラズマ肺炎の患者さんの8割は14歳以下のお子様といわれていますが、大人でも発症するケースはあります。症状についてはお子様とほとんど変わりませんが、いくつかお子様にはみられない特徴もあります。
弛張熱
症状が長引き、弛張熱という現象がみられることがあります。弛張熱とは、一日のうち決まった時間に熱が上がり、しばらくすると下がるというものです。
湿った咳
マイコプラズマ肺炎では、痰のからまない乾いた咳が長く続くという特徴がありますが、大人の場合は乾いた咳から湿った咳になる場合があります。これは気道に炎症が起き、分泌物が増すためです。
症状の悪化
大人の場合、お子様に比べて重症化しやすい傾向にあります。特に高齢の方では呼吸不全や胸水貯留(胸に水が溜まる)が起こって入院が必要になるケースもあります。