息切れとは
普段、私たちは平地をゆっくり歩く程度の運動時や安静時、呼吸をしても特につらいと感じることはありません。息切れは、何らかが原因で呼吸をするのに努力が必要となったり、不快感がある状態のことをいいます。不快感と一概に言っても、その症状は息が詰まる感じがする、胸が圧迫されるような感覚がある、呼吸が浅い、十分に吸ったり吐いたりできないなどの様々な症状があります。
息切れが起こるとき
息切れは運動をしたときやストレスを受けたとき、または疾患が原因であるものもあり、さまざまな場面で起こります。
病気が原因であるかについては、患者さん自身での判断は難しいため、安静時や軽い運動でもすぐに息が切れる、または昔より息が切れやすくなったなどといった場合はお気軽に当院までご相談ください。
息切れの原因
労作(運動)
階段や坂道を上る、走る、泳ぐなどの労作(運動)によって息切れが起こることがあります。軽い労作でもすぐに息が切れる場合や、昔より息切れしやすくなったといった場合には病気が原因の可能性があります。
ストレス
人前で喋る、発表をする、意図せず注目を集めるなど、極度の緊張を感じた場合、息切れが起こることがあります。ほかの場面で息が切れなければ、問題ないケースが多いです。
肺・心臓疾患
狭心症、心筋梗塞、心不全、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などが息切れの原因である場合があります。
息切れが関係する病気と特徴
気管支喘息
気管支が慢性的に炎症を起こすことで、少しの刺激で気管支が狭くなってしまう病気です。主な症状として息切れのほか、咳、ゼーゼー、ヒューヒューというような喘鳴、痰、呼吸困難などがあげられます。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
気管や肺の組織が損傷し、呼吸の機能が低下した状態を慢性閉塞性肺疾患と呼びます。主な原因は長年の喫煙で、症状としては労作時の息切れのほか、咳、痰、呼吸困難などがあげられます。
狭心症・心筋梗塞
狭心症は冠動脈が細くなる、詰まりかけることで、心筋梗塞は冠動脈が閉塞してしまうことで心臓の筋肉に十分な酸素が行き届かなくなる病気です。主な原因は動脈硬化で、症状としては息切れのほか、胸の痛みや胸を圧迫される、締め付けられるような感覚があげられます。
心不全
心不全は病名ではなく、心臓のポンプ機能が狭心症や心筋梗塞、高血圧、心臓弁膜症、心筋症などによって正しく機能していない状態のことをいいます。主な症状として息切れのほか、咳や疲れ、1週間で2kg以上の体重の増加、足の浮腫、呼吸困難などがあげられます。
貧血
血液中の赤血球のヘモグロビン量が少ないため、それに伴って十分な酸素が全身に行き渡らず、息切れのほかめまい、立ちくらみ、頭痛などの症状が起こります。
気胸
肺の表面にできた薄い膜が破け、穴が開いて肺がしぼんでしまう病気です。やせ形で背が高い若年男性や、喫煙していたことのある高齢男性によく見られ、主な症状として突然の息切れのほか、咳、胸の痛み、呼吸困難などがあげられます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺からの過剰なホルモン分泌が起こる病気です。主な症状としては息切れのほか、動悸、だるさ、手足がしびれる、食欲が増す、体重が減る、汗をかく、イライラするなどのさまざまなものがあります。
過換気症候群(過呼吸性症候群)
過換気症候群は不安や緊張が原因で呼吸中枢が興奮し、過剰回数の呼吸をしてしまう状態を指します。主な症状は息切れのほか、過呼吸や手足のしびれ、こわばりなどがあげられます。
胸膜炎
胸膜に炎症が起きる病気で、その原因には感染症、結核、膠原病、癌などがあります。主な症状は息切れのほか、息苦しさ、咳、発熱、胸の痛みなどがあげられます。
肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)
血管の中にできた血栓が、肺の動脈に詰まってしまう病気で、その原因としては肥満、長時間の同じ姿勢、外傷、癌、長期にわたる寝たきり、妊娠、ピルの服用などがあげられます。息切れのほか、息苦しさや鋭い胸痛が症状としてあらわれます。
息切れの検査
息切れの検査では、血液検査、呼吸機能検査、胸部レントゲン検査、CT検査、MRI検査、動脈酸素飽和度や脈拍数の測定などを実施します。CT検査などが必要な場合には、連携する医療機関を紹介します。
胸の痛みがある場合は、お気軽に当院にご相談ください。
息切れの治療
息切れの治療はさまざまで、原因となっている疾患に応じて行います。
原因が気管支喘息、肺炎、胸膜炎などである場合はそれらを治療することで息切れなどの症状が改善する可能性があります。
慢性閉塞性肺疾患が原因である場合は、煙草をやめることが必要不可欠です。日常生活に支障が出ている場合には在宅酸素療法を行ったり、酸素ボンベを携帯したりする必要があります。
心不全がみられる場合は、心不全の原因となった疾患に対する治療と、心不全そのものに対する薬物療法を併せて行います。
原因が不整脈である場合は、薬物療法のほか、カテーテル治療・手術を実施します。
貧血がみられる場合は、消化管での出血がなければ鉄分を投与し、また高齢の患者さんについては輸血などを行います。