咳が止まらなくて喉が痛い

喉が痛い原因

喉の痛みという症状は、喉の炎症によって引き起こされます。
感染症などをきっかけとして炎症を起こし神経が刺激されると、喉や喉周辺に痛みが生じるようになります。炎症がひどい場合、あらわれる痛みや腫れは強くなり、喉が熱を持ったように感じることもあります。
喉の炎症はウイルス感染症(風邪インフルエンザなど)のほか、喉の粘膜や扁桃腺が腫れる咽頭炎、扁桃炎、扁桃の周囲に膿がたまる扁桃周囲膿瘍、喉頭(喉の奥)が腫れる喉頭炎などが原因で生じます。

ウイルスや細菌を原因とするもの

多くの場合、ウイルスや細菌による感染症が喉の痛みの原因で、飛沫を吸い込んだり手や食物から口に入ったりすることで感染します。喉以外の、肺や鼻などの部分で進行すると、鼻水、咳、痰、発熱、頭痛、関節痛などさまざまな症状があらわれる、いわゆる風邪ということになります。
喉の奥の扁桃にはさまざまな免疫細胞が存在し、そこがウイルスや細菌といった外敵を取り込むと、免疫反応が起こって炎症が生じます。扁桃が大きく腫れて赤くなるのはこの過程に付随して起きるものでそれにより喉の痛みが発生します。
喉の痛みがある場合、細菌は成人ではおよそ10%程度と言われており、多くはウイルス感染が原因です。症状や重症度はどんなウイルスや細菌に感染したかによって異なりますが、強い痛みがあって水分や食事も困難な場合は注意する必要があります。

風邪

ライノウイルス

このライノウイルスが風邪の原因の約30~40%を占めています。

RSウイルス

RSウイルスは一年中流行しますが、特に冬に多いです。乳幼児が感染すると、気管支炎や肺炎が引き起こされる場合があります。

パラインフルエンザウイルス

パラインフルエンザウイルスは鼻や喉風邪を引き起こし、お子様が感染した場合は重症化しやすいウイルスです。

エンテロウイルス

エンテロウイルスは主に夏に流行するウイルスで、症状は風邪に似たもののほか、下痢を起こすこともあります。

プール熱

アデノウイルス

冬から夏にかけて多くみられ、咽頭炎や気管支炎のほか、結膜炎も起こすことがあります。

インフルエンザ  (A型、B型、C型)

高熱や頭痛、筋肉痛、関節痛など全身症状を引き起こす感染症で、上気道の粘膜(鼻や喉)に感染して起こります。

ヘルパンギーナ

ポリオウイルス、コクサッキーウイルスA群(CA)、コクサッキーウイルスB群(CB)、エコーウイルス、エンテロウイルス(68~71 型)などがあり、夏、主に乳幼児に流行する急性のウイルス性咽頭炎です。

溶連菌感染症(A群溶血性レンサ球菌咽頭炎)

お子様に多くみられる感染症ですが、大人でもかかります。乳幼児では咽頭炎、年長児から大人では扁桃炎が生じます。

喉の乾燥

咽頭や喉頭の表面は薄い粘膜に覆われており、喉の潤いは粘液を傷つけず外敵の侵入を防止するために重要です。喉の乾燥はウイルスや細菌を付着しやすくし、それによって炎症が生じ、喉の痛みや違和感につながることがあります。乾燥による喉の痛みは一時的であるケースもありますが、免疫力が低下していると、咽頭炎や扁桃炎になってしまうこともあります。

喉への強い刺激、酷使

喉が強い刺激(アルコールや煙草の有害物質、辛い食べ物、熱い飲み物など)にさらされることによる喉の粘膜の炎症は、喉の痛みを引き起こします。また、喉の酷使(何時間も歌う、長い時間大声で声援を送ったりするなど)も喉の痛みの原因としてあげられます。


喉の痛みを和らげる方法

喉へ負荷をかけない

喉の痛みがある場合、喉に負荷をかけないため、禁煙はもちろんアルコールなどの刺激物や、熱い飲み物などは摂取を控えるようにしましょう。代わりに、熱すぎず冷たすぎない適温で、喉の通りが良い食べ物を少しずつゆっくりとることをおすすめします。

保湿をする

喉の痛みがある場合、外側と内側両方から保湿することが大切です。部屋を加湿したり、マスクを着けたりして外からの保湿を行います。ストールを、口元を覆うように巻くのも、湿度の低い冬の外出時などにおすすめです。
また、常温の水やぬるま湯をこまめに少量ずつ飲むようにして、内側からの保湿を行います。お茶やコーヒーなどはカフェインが含まれており、利尿作用によって体内の水分を減らしてしまう可能性があるため控えた方が良いでしょう。また、喉を潤すために喉飴を舐めたりガムを噛んだりして唾液を増やすというのも効果的です。

薬を使う

強い喉の痛みにより、水分や食べ物をとることができず脱水や体力の低下で症状が悪化してしまう場合もあるため、喉の痛みが強い時には消炎鎮痛作用のある薬を服用するのも良いでしょう。
消炎鎮痛成分は、頭痛や発熱に対して用いる解熱鎮痛薬や市販の風邪薬にも配合されています。用法用量を守って服用するようにしてください。

漢方薬の活用

喉の痛みに対しては、漢方薬を使うこともおすすめします。
漢方薬は、体質に合ったものを使うことで体が本来持つ力を高める働きをします。喉の痛みは、「生体防御機能が侵入してきた外敵に対して機能したことで腫れや炎症が生じている」状態であるため、相性が良いです。
喉が痛い場合におすすめする処方は次のようなものになります。
喉が痛い時は、漢方薬を活用するのもおすすめです。

処方名 成分 効き方
銀翹散(ぎんぎょうさん) 薄荷、牛蒡子、淡豆鼓、金銀花、連翹、淡竹葉、荊芥、桔梗、甘草 喉や体内の熱を鎮め、風邪が原因の喉の痛みを改善する
麦門冬湯(ばくもんどうとう) 門冬、粳米、大棗、半夏、人参、甘草 漿液など、気道液に含まれるものの分泌を促進し、喉の乾燥を緩和する
甘草湯(かんぞうとう) 甘草 甘草の消炎作用が喉の粘膜の潤いを取り戻し、痛みを緩和する

2週間以上続く咳は注意が必要?

長引く咳に対して、風邪が治っていないのかなと軽く考えてしまう方も多いですが、咳症状が2週間以上続いている場合は、風邪ではない可能性があります。
風邪の原因のうち80~90%はウイルス性で、風邪のウイルスは体内に侵入して増殖するものの増殖力はそこまで強くないため、安静にしていれば2週間以内にウイルスが消え、自然に治ります。一方、ウイルス性ではない、細菌性の風邪はウイルス性のものと比較して症状が重くなりやすいです。ただし、細菌性の風邪症状は抗生物質を使うことで改善することができます。
つまり、2週間以上咳が続いている場合は、風邪以外の病気(喘息肺炎、結核、心不全、肺癌など)である可能性が考えられます。
風邪と間違えやすい病気の中で、最近特に増えているのが咳喘息です。
咳喘息は、気管支喘息の一歩手前の状態で、治療を行わないと3人に1人は気管支喘息へと移行するといわれています。気管支喘息は1年で1000人以上が呼吸困難で亡くなる、完治が難しい病気です。そのため、咳喘息のうちから適切な治療を行うことが重要となります。

咳喘息とは

咳喘息は、埃や花粉、冷たい空気、特定の匂いや湯気など少しの刺激でも過敏に反応して咳が出て、なかなか止まらなくなってしまう疾患です。咳喘息を持っていると、気道の粘膜は常に炎症が生じている状態となっています。咳喘息を発症する原因はさまざまで、風邪がきっかけであるケースも多いですが、花粉、雨の日や気温の低い日など気候の変化、食品添加物、PM2.5などのほか、日常生活でのストレスや疲れも原因となります。
気管支喘息に移行してしまうと、肺の機能の低下も起こりますが、正しい治療を行えば改善が見込めます。咳が長期間長引いている方は、当院までお気軽にご相談ください。

咳喘息


注意が必要な長引く咳の見分け方

咳が長期間続いている場合、診察と胸部レントゲン検査を行います。胸部レントゲン検査で異常がみられる疾患には肺癌、肺結核、肺炎、胸膜炎、気胸などがあり、これらの疾患の有無を最初に確認します。なお、必要な場合は連携病院でCT検査などの精密検査を受けていただきます。
咳症状の原因としては、逆流性食道炎、ACE阻害薬(高血圧の治療薬)の服用、副鼻腔炎による後鼻漏などを考慮に入れて検討します。
また、気管支喘息、慢性気管支炎、風邪症候群後の咳嗽、咳喘息、アトピー咳嗽などの呼吸器系の病気を考慮し、どのように対応するのが適切であるか検討していきます。


受診したほうが良い咳

  • 熱は無いにもかかわらず持続する咳や痰
  • 持続する乾いた咳
  • 風邪をひいたときいつも咳がなかなか治らない
  • 咳止めを飲んでも止まらない咳
  • 明け方に咳で目が覚める
  • 呼吸をすると「ゼーゼー、ヒューヒュー」と音がする
  • 喘息と診断されたことがある
  • 喘息の患者さんが親、兄弟などの親族にいる

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